「三中井百貨店」

ビジネスカフェあきんどひろば

2006年11月27日 07:27


BizCafe「あきんどひろば」開店以来、半月ほど経ちました。金融機関や起業家の方の企画も
持ち込まれており、”ひろば”らしさが少しでてきました。ただ、セミナー・イベントがなくても
ぶらりカフェに立ち寄っていただける方が増えると、もっともっと面白いと思うのですが・・・・

ところで本日は、「近江商人三中井百貨店」の話です。なんで突然?と思われるかもしれませんが、
「あきんどひろば」では、近江商人を色々な経営の切り口で考えてみると興味を惹くんではないかと
考えています。近江商人といえば「三方よし」「しまつしてきばる」「質素倹約」などがすぐに頭に
浮かびますよね。

先日まで、五個荘の近江商人博物館で『中江4兄弟と三中井百貨店』の特別展示が行われていました。
皆さんはご存知でしたか?朝鮮半島や満州に18店舗百貨店を経営し、一時期 三越を売上高で凌ぎ
百貨店王と言われた豪商です。ところが、三中井百貨店は戦後忽然と姿を消す。あれだけの経営人材と組織と経営管理機能を有した企業が忽然消失するというのはミステリアスです。
敗戦後で資産の多くを失ったにせよ、経営のDNAはしっかり根づいているはずなのに。

展示物の中に三中井百貨店の大正12年の決算報告書の一部が目を惹いた。当時、三中井百貨店は個人商店であったと思われる(株式会社化は昭和9年)が複式簿記でしっかりとした記帳されているところをみると、三中井百貨店の経営管理の質の高さをうかがい知ることが出来る。

当期純利益約12万円、別途積立金6千円、役員賞与金5千円、出資配当金約10万円、その他繰越利益・・・。
配当性向83%と異常に高い。出資金は中江勝治郎を始め、殆ど一族で占められているはずなので、役員賞与と合わせると利益の大半をオーナー一族で分配していたことになる。
近江商人は個人の蓄えを地域の人材教育やインフラの整備に力を尽くし社会貢献したのであろう。

現在とは組織、企業統制、産業構造など大きく異なる環境のために意味がないかもしれないが、
現在の三越と比較をしてみる。
三越百貨店の平成18年2月期の決算では売上高純利益率1.07% 配当性向16.27% 内部留保率83.72%となっているが、当時、三中井百貨店は売上高純利益率推定1.33%配当性向83.3%
内部留保率15%となっている。

単純な比較は出来ないにしろ、経営に対する考え方には興味がある。さて次回は何故忽然と消失
したのかについて考えてみたい。





































































































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